六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編144】『6』なら、早く回せ

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裕子がレギュラーボーナスを消化し終えて一息ついたところで、今度は私の台のGOGO!ランプが静かに点灯した。感謝の意味を込めてGOGO!ランプを指先で撫でてから、『BAR』を揃えた。小役ゲーム中にブドウが小気味良く揃い、412枚も獲得できてしまった。小さな幸運にほくそ笑んでいると、思っていたよりも早く五十嵐さんが戻ってきた。

「早かったですね。木部と話しはできましたか?」

私が尋ねても、五十嵐さんは浮かない表情のままだ。

「木部っち、何て言ってたの?」

裕子が優しい口調で問いただした。それに背中を押されるように、五十嵐さんの重い口が開いた。

「わたし、言ったんです。『ノルマ達成できなかったんだね』って。そしたら『まだ時間はある』って言われて……」

「それから?」

「『設定6に座ってるんだから、早く回せ』って言われて……終わりです。相手にしてもらえませんでした」

五十嵐さんは口を尖らせ、力なく椅子に身体を沈めた。詳しいことまでは図りかねるが、五十嵐さんの顔を見る限り、木部はかなり冷たくあしらったのだろう。

ため息混じりにレバーを叩く五十嵐さんを見ていると、掛ける言葉が見つからなかった。数ゲームの間、三人の間に沈黙が流れた。

「結局さぁ!」

沈黙を破ったのは、裕子だった。

「木部っちがスロプーになったら、別れるつもりなの?」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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