六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編148】名機『巨人の星』

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一触即発が予想される首脳会議から離脱した私は、ぶらりと店内を一周してからトイレを目指して歩き始めた。すると、休憩スペースの前で木部と遭遇した。

「トイレですか?」

「いや、なんか危険な香りがしたから逃げてきた」

「なんですかそれ。ハマる予感でもしたんですか?」

「そうじゃなくてさ、女性陣が……」

あの二人の会話を再現しようとしたとき、木部が私の背後へと視線を向けた。視線の先を追うと、初老の男性が席を立つところだった。私は視線を木部に戻し、話を続けた。

「五十嵐さんが『結婚とか考えてないんですか?』とか裕子に訊くもんだからさ……」

「ちょっと先輩、すみません」

木部は私の身体を押しのけるようにして、背後の通路を歩いて行ってしまった。ずいぶんな扱いじゃないかと思いながらも、木部のあとを追った。木部は先ほど初老の男性が離席した台の前に立つと、すぐさま携帯電話を下皿に放り込んだ。私が追いつくと、木部はこちらに顔を向けデータ表示機を指差した。

そこには、前回のボーナスから99ゲーム消化された『巨人の星』があった。『巨人の星』は言わずと知れたストック機の名機。ストック機のご多分に漏れず、ボーナス終了後128ゲーム以内が激アツゾーンだ。

「なるほどね、悪くないんじゃない?」

「千円だけで済みますしね。とりあえず打ってみますよ」

木部は財布から千円札を取り出し、コインサンドへ滑り込ませた。私は無言で頷き、ジャグラーのシマへと取って返した。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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