六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編151】星飛雄馬『この一球に賭ける!』

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――『ファール!!』

私と裕子は顔を見合わせた。三球目をファールするパターンはかなり熱い演出だ。木部は再び唇を歪めた。

「これって……どうなんですか?」

五十嵐さんが木部の台を小さく指差して尋ねてきた。

「まだ128ゲーム以内ですからね。当たるかもしれません」

そう答えると、五十嵐さんは納得したようにゆっくりと頷き、口を手で覆った。

だが、三球目をファールしてもハズレるパターンも大いに有り得る。私たちは固唾を呑んで見守った。木部はいつもよりゆっくりと、気持ちを乗せるようにレバーを押し下げた。

――『この一球に賭ける!大リーグボール3号だ!!』

星飛雄馬は満を持して大リーグボール3号を選んだ。三球目にファールを挟んでからの大リーグボール3号は、期待するなという方が難しいほど豪華演出の共演だ。背後のシマで遊技していた客も、振り返って事の成り行きを見守っている。

木部は、半ば確信したかのように、躊躇なく三つの停止ボタンをリズミカルに押した。店内のBGMが曲と曲の切れ目になり、一瞬だけの静寂が訪れた。

――『ストライーク!!バッターアウトッ!!』

――『勝った!!俺は勝ったんだ!!』

星飛雄馬が勝利の雄叫びを上げた。振り返って観戦していた背後のシマの客たちが一斉に自分の台へと向き直る。店内には4つ打ちのダンスミュージックが再び流れ始めた。

五十嵐さんはじっと木部の台を見つめている。視線の先にいる木部は、無表情でレバーを叩いた。

下段に青7がテンパイする。右リールにひとつしか無い青7を下段に狙う。木部は、右リールを二周見てから親指を振り下ろした。

止まるべき場所に『7』は無かった。代わりに、4コマスベッて【巨人の星】図柄が下段に停止していた。各々の想いを乗せて、レギュラーボーナスがスタートした。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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