六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編155】左門豊作、打率.000

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淡々としたベースラインのBGMが流れる中、5thリールのバッターボックスに左門豊作が登場した。花形満よりも期待度が高い、いわゆる『ヤラれキャラ』だ。木部は躊躇なく停止ボタンの上で指を踊らせた。

――『ストライーク!』

球審の声が響き渡る。私たちは固唾を呑んで勝負の行方を見守った。

――『ストライーク!ツー!!』

星飛雄馬の球威は落ちること無く、むしろ先程よりも走っている……ような気すらする。

――『この一球に賭ける!大リーグボール3号だ!』

星くん、大リーグボールを安売りしすぎではないか?そうやって頻繁に投げるから研究されて打たれるんじゃないのか?野村監督ならば、もっとボール球を有効活用して打ち取れと説教することだろう。

まだボーナスが確定しているわけではないが、木部は青7を左・中リールに狙った。派手なテンパイ音と共に、下段に青7が二つ並んだ。先ほどレギュラーが揃った時と同じ形だ。リールのバックライトが点滅する中、木部は眉間にシワを寄せて、右手の親指を振り下ろした。

――『ストライーク!バッターアウト!』

――『俺は勝ったんだ!!』

打者を一人打ち取っただけとは思えないほどのオーバーリアクションで、星飛雄馬が雄叫びを上げた。右リール下段には、見事青7が停止していた。木部がこちらを見てニヤリと笑った。

「ヤバかったッスよ。あとこれだけしか残ってませんでした」

木部の手には、二枚のコインが握られていた。ギリギリ追加投資を免れた格好だ。木部は一瞬だけ五十嵐さんを目を合わせて、ビッグボーナスを消化し始めた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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