六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編156】16ゲームまでに、確実に、

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完全ナビゲーションのBタイプを採用した巨人の星のビッグボーナスの獲得枚数は395枚。星一徹と明子お姉ちゃんの指示に従えば、誰でも同じ枚数が獲得できる仕様だ。BIG二回ではノルマに届かないので、三連チャンは欲しいところだろう。

下皿に続々とコインが吐き出される。だが木部は冷静な表情を崩さない。勝負はまだこれからだという気持ちが強いのだろう。淡々と手際よくビッグを消化していく。

最後のボーナスゲームを消化し、エンディング曲が流れる。木部が深い息を吐き、MAXベットボタンに右手を添えた。筐体に目を向けると、右リール上段だけに豆電球ほどの小さなバックライトが点灯している。夜空に輝く『一番星』に見立てた演出だ。

BGMが終わりかけ、木部がこちらを向いた。私は一応の祝福を込め、親指を立てた。

その時だった。

――『キーン』

決して大きくはない音量ではあるが、確かに、甲高い金属音が辺りに轟いた。私は思わず目を見開いた。木部も僅かに眉を上げた。背後のシマの客たちも一斉に木部の台に視線を浴びせた。

期待している時には巡りあえず、ふと忘れた頃に出会える。それがプレミアム演出というものだろう。この金属音は、まぎれもなく『16ゲーム以内の連チャン確定演出』だった。

木部は口をすぼめるようにして、驚きと歓喜を内包した表情を見せた。

「スゴイな」

「ありがとうございます。ツイてますね」

声を掛けると、木部は小さく頭を下げ、レバーを叩いた。

「今の何?」

裕子が訝しげに尋ねてきた。

「ビッグ終了後に『キーン』って鳴ったら16ゲーム以内に連チャン確定なんだよ。知らなかった?」

「あ、そうなんだ。アタシがこないだ打った時、しょっちゅう鳴ってた気がするけど」

さも当然といった顔で言う裕子に、『あなたはヒキが強いんですよ』と、言い返した。……心の中で。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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