六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編160】ヤリ手ビジネスマンの横顔

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左のストップボタンに人差し指を乗せる。二周見てからその指を振り下ろす。チェリーを蹴るように下段に青7がスベり降りてきた。4thリールと5thリールはまだ回転を続けている。続けざまに中リールを停止させる。右上がりで青7がテンパイした。唸りを上げて回り続ける4thリールと5thリールを無視するように、木部は右リールを停止させた。

台枠が激しく点滅し、けたたましいファンファーレが鳴り響いた。右リール上段には青7が当然といった輝きで鎮座していた。待望のビッグボーナスだ。

木部は大きく息を吐き出し、肩の力を脱いた。その横顔は、一仕事終えたヤリ手ビジネスマンのような満足気なものだった。

「やっと引いたな」

私が声をかけると、木部はビッグボーナスを消化しながらこちらを見上げた。

「ホント、やっとですよ。これで一応……」

木部は下皿の縁を左手の指先でトントンと叩いた。それは、ノルマのプラス750枚を超えたことを意味していた。

五十嵐さんの方に視線を向けると、裕子が何やら耳打ちしていた。おそらく今の状況を説明しているのだろう。私は視線を戻し、木部の耳元で言った。

「これで持ちコインが850枚くらいになったけど、即ヤメするの?」

私は、わざと木部を試すような口調で尋ねた。木部の顔が一瞬だけ曇ったように見えた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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