六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編172】閉店間際、並ぶコインジェット

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結局、五十嵐さんは閉店間際まで連チャンを続けた。最後に128ゲームを超えたところで木部が五十嵐さんの肩を叩いた。

「もう出ないから、ヤメるぞ」

そう言って、木部は台上にある二つのドル箱を重ねて降ろした。五十嵐さんは大きく息を吐き、火照った身体を落ち着かせるように両手で頬を擦った。

「やるじゃん!面白かった?」

裕子が声を掛けると、彼女ははにかんだ笑顔で軽く頭を下げた。

「はい。でも疲れました」

五十嵐さんはもう一度大きく息を吐くと、木部に促されて席を立った。四人でぞろぞろとコインジェットへ向かうと、閉店時間が迫っていることもあり、数人の客がドル箱を抱えて並んでいた。

「俺ら、外で待ってるよ」

列の最後尾に並んだ木部と五十嵐さんに言うと、木部は「わかりました」と頷いた。

裕子を連れて店の外に出ると、冷たい風が吹き付けてきた。風俗店にはネオンが灯り、客引きが獲物を探してあたりを物色している。この街の、いつもの光景がそこには広がっていた。

「寒ッ!もう冬じゃん!」

「店の中で待ってればよかったかな。缶コーヒーでも飲む?」

「うーん、このあとご飯食べにいくなら飲まない方がよくない?」

「確かに。でも木部たちはそのまま帰るんじゃないかな。時間も遅いし」

私はポケットに手を突っ込んだまま肩をすぼめた。裕子はその場で足踏みして身体を揺らした。

しばらく待っていると、木部と五十嵐さんが店から出てきた。二人は穏やかな笑みを浮かべていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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