六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編173】本当にスロプーとして生きていくつもり?

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「最終的には何枚でした?」

私が尋ねると、五十嵐さんはちらりと木部の顔を覗きこんでから、あらためてこちらを見た。

「1800……何枚だったっけ?」

「1837」

木部がぶっきらぼうに助け舟を出した。それに五十嵐さんが「です」と付け足した。

「大したものですよ。あの短時間でそれだけ出れば十分過ぎるでしょう」

「五十嵐ちゃん、楽しかった?」

裕子が上目遣いで訊いた。

「最初のジャグラーとは違って、止める順番とか気にしなきゃいけなくて大変でしたけど、慣れてきたら面白かったです、すごく」

五十嵐さんは胸の前で手を揉みながら答えた。その言葉には嘘は無いように思えた。

「ってことは、俺以外はみんなプラスってことか。皆さんパチスロがお上手ですねぇ」

「正吾はヒキが弱すぎるんだよ!そんなんでよくプロとか名乗れるもんだよ」

「俺がいつ自分のことをプロだなんて名乗ったよ?だいたい、その日のヒキだけで勝った負けたって言ってるヤツが……」

五十嵐さんが我々のやりとりを見て、口を抑えて笑っていた。もう一方の手は、木部の腰のあたりに優しく触れていた。

私は、忘れかけていた疑問を木部に対して質すことにした。

「木部……結局、これからどうするの?」

「何がですか?メシですか?」

「そうじゃないだろ」

はぐらかそうとする木部に、少しだけ語気を強めて退路を塞いだ。

「本当にスロプーとして生きていくつもり?」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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