六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編23】全台設定4以上ですよ!

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先輩の言ってた通り、ジャグラー全台に設定4以上の札刺さってましたよ!メチャクチャ良い店じゃないですか!まだジャグラーのシマ、ガラガラですよ!先輩たちも一緒に打ちましょうよ!俺はまだ出てないけど、今日は粘り倒しますよ!
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私は携帯電話を握りしめたまま、ベッドの上で大の字になって天を仰いだ。勢い余って壁に右手をぶつけたついでに、カーテンを勢い良く開け放った。秋の日差しが体全体に突き刺さる。

「俺さ、『ラッシュ』のこと……、他にも何か言ってなかった?」

「んー?さぁ。でも木部っちは『俺ェ、明日朝イチから行ってきますよ!』って言ってたよ」

裕子は木部のモノマネをするように、目を見開いて握りこぶしを握った。頭を抱える私を見て、裕子は続けた。

「いいの?自分が行かない店、薦めちゃって」

「俺は薦めたわけじゃなくて、日本の縮図が見えるって言っただけでしょ?よく覚えてないけどさ。まさにその通りになってるじゃんかよ」

木部は今、『設定4以上』と書かれた札が刺された台と必死に格闘しているのだろう。周りにも同じ札が刺された台が沢山あるにも関わらず、実際に遊技しているのは木部を含めて極少数だ。木部は気がつくだろうか。日本の縮図という意味を。

見上げた天井の隅に、小さな蜘蛛の巣が張っていた。おそらく、その中にいる蜘蛛はかなり小さいだろう。そしてその蜘蛛は、さらに小さな虫を食べて生きているのだろう。

私は木部からのメールを何度も読み直し、どのように返信しようか思案した。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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