六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編26】スロッター達の合否判定

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山手線が新宿駅のホームにすべり込むと、車内から多くの人があふれ出た。その波に飲み込まれないように裕子の手を握り、南口改札を目指した。エスカレーターを上がり改札をくぐると、そには人の渦があった。下手に立ち止まることも許されないその雰囲気には、いつも辟易する。私は裕子の手を引き、甲州街道を左手に見ながら西新宿方面へと歩いた。

「結構遅くなっちゃったね」

裕子が左腕に絡みついてきた。私は右手で携帯電話を開くと、十四時を少し過ぎたところだった。

「いいよ別に、狙ってる台があるわけでもないんだし」

私は前を見たまま答えた。行き交う人の波を縫うように歩く。数年前、上京したばかりの私は、友人に連れられてこの新宿に初めて降り立った。若い私が最初に尋ねたことは「今日はお祭りでもあるの?」だった。東京ではこれが普通だと知り愕然とした。だが一年もしないうちに慣れてしまった。

金魚すくいもヨーヨー釣りもりんご飴の屋台も出ていない新宿を、ひたすら歩く。

「最初はどのお店に行くの?」

「そうだなぁ、どこからチェックしようか」

「っていうか、『ラッシュ』じゃないの?そのつもりでコッチに歩いてるんでしょ?」

裕子がニヤニヤと笑いながら袖を引っ張ってきた。確かにその通りだった。十四時といえば、朝イチから打ち始めたスロッター達の合否判定が概ね出揃う時間帯だ。木部からはあれ以来メールの着信はなかった。私は裕子の問いに答えず、黙って歩き続けた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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