六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編27】客付き、三割弱。

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横断歩道を渡り、家電量販店を通り過ぎると『ラッシュ』が見えてきた。中世ヨーロッパのお城をモチーフにした派手な造りの外観だが、このカオスを凝縮したような新宿の街の中では、単なる風景のひとつとして飲み込まれてしまっている。

自動ドアが開くと、店内からけたたましい音の洪水があふれ出てきた。一階はパチンコフロアになっている。軽く一瞥したところ、客付きは三割といったところだろうか。海物語のシマを通りぬけ、エスカレーターで二階へ。聞き慣れた遊技音が耳に入ってきた。

二階のスロットフロアに着くと、ちょうど正面のシマに木部の背中を見つけた。まだジャグラーを打ち続けているようだ。その頭上には「設定4以上!」と大仰に書かれた札が刺さっている。私はとりあえず木部がいる方とは逆のシマへと足を向けた。すると裕子が私の背中を叩いた。

「木部っち、あそこにいるよ?」

裕子は木部の方を指差した。私は「分かってる」とだけ言い、逆側の壁際のシマからチェックを始めた。

店内はとても歩きやすかった。それもそのはず。客が少ないのだ。AT機には三割程度、ストック機に至っては二割に満たないほどの客付きだった。ふと景品カウンターに目をやると、店員が暇そうに台を開けるためのカギをクルクルと回していた。念のためストック機のシマのゲーム数をチェックするが、そもそも開店から1ゲームも回されていない台がほとんどで、話にならなかった。

全てのシマを練り歩き、最後にジャグラーのシマへと足を踏み入れた。その先では、木部が真剣な表情でレバーを叩いていた。

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長崎 正吾

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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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