六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編32】「『ガセ』ってことッスか?」

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「なんすか、この札って『ガセ』ってことッスか?」

木部は自分の台に刺された『設定4以上』と書かれた札を指先で叩いた。

「さぁ。どうだろうね」

私がはぐらかすように言うと、木部は携帯を指先でコツコツと叩いた。

「じゃあ、この確率の悪さはどういうことなんですか!?」

「……さぁ。昨日の客がみんなヒキ弱だったんだろ」

私は木部の隣の台のデータ表示機をなんとなくチェックした。何日さかのぼっても高設定らしき数値は見つからなかった。

「仮に、全台が設定4だったら、昨日くらいの確率になっちゃうこともあるだろうけどな。ただ……」

私は半分ほど残っていたカフェオレを一気に喉に流し込み、空き缶をゴミ箱へ放り込んだ。

「ただ、俺はこの店では打たない」

私がそう断言すると、木部は目を見開いて私を指差し、身体を大きくのけ反らせた。

「ズルぃ!!昨日『打ってみなきゃわからん!!』とか言って俺に打ってこいって言ったの先輩じゃないッスか!!俺のことハメたんですね!?俺の時間と金を返してくださいよ!!」

「え……俺、昨日そんなこと言ったか?」

「言いましたよ!『日本の縮図が見える』だとかワケのわかんないこと言って俺のこと煽ったじゃないッスか!!」

「それは……言ってたらしいけど。でも、『打て』って言ったの?」

私は自分自身を指差しながら、裕子に尋ねた。裕子はまたしても両手の手のひらを上に向けて肩をすくめた。

どうやら、酒を控えなければいけないのは、私のようだ。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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