六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編33】『設定変更判別』知らないの?

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木部は下皿にあった300枚ほどのコインをドル箱に詰め、コインジェットへと流した。獲得枚数が印字されたレシートをカウンターに差し出す木部を横目に、私と裕子は先に店から出た。

「俺、昨日『ラッシュで打て』って言ったの?」

「さぁ。アタシも覚えてないけど」

私の問いに、裕子は首を傾げて答えた。ほどなくして木部が店から出てきた。

「先輩!さんざんな目に合わせてくれてどうもありがとうござました!おかげさまで収支もマイナスですよ!」

木部は上唇を鼻先につけるような表情で不満を表明した。

「そう言うなよ、俺もかなり酔ってたから覚えてないんだよ。悪かったな」

私が顔の前で手刀を作ると、木部はツンと斜め上を見上げた。私たちはとりあえず歌舞伎町方面に向かって歩き始めた。新宿西口のロータリーは平日の昼間ということもあり、比較的人の数は少なかった。私は後ろをついてくる木部の方を振り返った。

「そもそもさ、木部。あの台って『変更判別』は通ったの?」

木部は日差しを眩しがるように、眉を寄せた。

「なんすか、それ?」

「なんすかって、お前『設定変更判別』知らないの?『月刊パチスロキング』読んでるって言ってなかったっけ?あの雑誌の巻末に毎号掲載されてるだろ?」

「あー、あの『最初に何枚投入して、何枚手持ち』とかいう、アレのことですか?」

私は「そうそう」と頷いた。

「あんな面倒なことやらないッスよ。やらなきゃダメなんですか?」

悪びれる様子もなく言い放った木部に、私は頭を抱えた。

「がんばって!師匠!」

隣で裕子がニヤニヤと笑いながら私の肩を叩いた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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