六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編45】「万枚出してきます」

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「設定が確信できるようなテクニックが存在する機種に高設定なんか入れにくいだろ?お前みたいなのが朝イチから設定判別してさ、高設定掴んだら閉店まで粘られちゃうんだから。店側としては高設定使えないよな。」

電話の向こうで木部の「あー」という唸り声がかすかに聞こえた。私は構わず続けた。

「だから、都内で今日中に設定6を掴めたら寿司奢ってやるなんて言ったんだよ。どうせ無いだろうと思ってな。どうしてもニューパルの高設定が打ちたいなら、他県まで遠征して年配客が出してる店を探すしかないと思うぜ。俺は面倒だからそこまでやらないけどね」

「はー。じゃあ俺はこれからどうしたらいいんですか?」

木部が力無く言った。

「そんなの知らないよ。自分でなんとかしろよ」

私が眉をひそめて言うと、それを見た裕子が突然、私の手から携帯電話を奪い取った。

「木部っち、獣王打ちなよ!サバチャン引ければ楽勝だよ!」

それだけ言うと、裕子はニコニコしながら携帯を差し出した。もはや木部を煽って楽しんでいるだけとしか思えない行動だ。

「木部、今の裕子の発言は気にするな。朝イチでノーマルタイプの高設定が掴めなかった時は、ストック機のオイシイとこを拾い歩くのが手堅いぞ。ストック機のゾーンと天井は暗記してるか?でも、絶対に打ってる人の背後に張り付いたりしちゃダメだぞ。……って木部、聞いてる?」

私が尋ねると、しばらく木部からの返事が無かった。何度か呼びかけてようやく木部の声が聞こえてきた。

「わかりました。今から獣王で万枚出してきます」

それだけ言い残して、電話は切れた。木部の師匠は、実は裕子なのではないだろうか。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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