六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編47】毎月キッチリ二十万プラス

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それからというもの、木部は『獣王』や『コンチ4X』などの、いわゆる――爆裂機――を毎日のように打っていた。夜になると決まってその日の結果報告がメールされてくるのだが、当然のように勝ったり負けたりを繰り返していた。

木部がスロット生活を始めてから二週間が過ぎたある日。私は裕子と連れ立って木部の陣中見舞いに行くことにした。前日の木部からのメールに記されていた渋谷の『極楽園』に昼過ぎに着いた私と裕子は、その店の入口で立ち止まった。

「なんかスゴイね、このお店」

「……そうだな。『トヨタ』よりもこっちの方が優良店かもね」

店の入口には、万枚オーバーした台の写真と枚数がところ狭しと貼りだされていた。

「なんか、一万枚くらいじゃ少ないって感じだね」

私は平静を装って二三度頷いた。

「そういえば、正吾ってジャグラーばっかり飽きずに打ってるけどさ、万枚って出したことあるの?」

私がわざとらしく視線を斜め上に外すと、裕子のチョップが脇腹に突き刺さった。

「痛った!なんだよもー。万枚なんか出したことないですよ。俺は一日に二十万勝つことよりも、毎月キッチリ二十万以上プラスにすることを目指してるんですよ」

脇腹をさすりながら言うと、裕子はニヤニヤしながら手のひらを広げて見せた。

「ちなみにアタシは5回ほどあります。あーまた万枚出したいなー」

裕子は鼻歌でも歌うように言いながら目を細めて店の入口へと歩いて行った。自動ドアが開くと、音の洪水が鼓膜へと流れこんできた。

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長崎 正吾

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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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