六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編50】謎のボブカットの女

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その女性は少しうつむき加減でボブカットの毛先が肩にかかり、表情はうかがい知れなかった。

「このお店、結構出てるね!今度のイベントは明後日だってポスターに書いてあったよ!来てみる?」

店内の喧騒に負けないくらいの大きな声で、裕子が私の背後から声をかけてきた。その声に驚いたように、ボブカットの女性がふっと顔を上げてこちらを見た。

白い肌に、切れ長で黒目がちな涼し気な目元。ナチュラルメイクではあるが、どことなく大人の色気を感じさせるその顔立ちに、私は思わずドキリとした。こう言ってはなんだが、スロット屋に出入りするようなタイプの人だとは到底思えない雰囲気を醸し出していた。

エスカレーターの上りと下りがすれ違うほんの一瞬ではあったが、私はその女性に見とれてしまった。

「おいっ!!」

「痛った!!」

左の肩甲骨あたりに裕子のパンチが飛んできた。

「見とれるほどお好みですか?」

「違いますよ……痛いなぁ」

裕子は目を細めて私を見下ろした。私は左肩をさすりながらエスカレーターで一階まで降りた。念のためストック機のゲーム数をチェックしてみたが、若者の街「渋谷」の店でそんなにオイシイ台が落ちているはずもない。仕方なく私たちは『極楽園』を後にすることにした。

「せっかく渋谷に来たんだから109寄ろうよ。イヤ?」

「あぁ……うん」

店の外に出ると、秋の日差しが優しく目に飛び込んできた。私はあのボブカットの女性の物憂げな表情がずっと気になっていて、裕子の話にも終始うわの空だった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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