六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編51】月イチイベント『極楽デー』

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二日後。私と裕子は朝9時に渋谷の『極楽園』に着いた。今日は月イチのイベント『極楽デー』とのことで、すでに100人近い人が並んでいる。

「すごいね」

「そうだね。さすが渋谷って感じだな。若者多いし」

「木部っち、なんで来ないんだろうね」

裕子が尋ねてきたが、私は軽く首を傾げて答えた。昨夜、『極楽デー』に参戦することを木部にメールしたら、――僕は行きませんけど頑張ってください――というつれない返事が届いたのだ。自分が喜び勇んで参戦するイベントにあっさりと「行かない」と言われてしまうと、なんとなくダメなイベントなのかと不安になってしまう。

だが、ダメならダメで次から行かなければいいだけだと思い直し、今に至るわけだ。

「だいぶ寒くなってきたね」

「もう11月だからね。缶コーヒーでも買ってくればよかったな」

裕子はパーカーに手を突っ込んだまま足踏みをした。そろそろ本格的に朝の並びが辛くなってくる季節だ。

そんなとりとめのない話をしながら、私は並びの列の最前列から順番に目線を進めた。先頭の方には、ほぼ徹夜をしたであろう学生風の男数人のグループが、ダンボールの上であぐらをかいて談笑していた。その後もほとんどが若い男性客ばかりだ。私たちの後に並んだ客の顔もチェックする。やはり男性ばかりで女性客はそれこそ私の後ろにいる裕子を除けば片手で数えられる程度だった。

あの女性は来ていないようだった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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