六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編52】女、接近遭遇を試みる

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「んじゃ、頑張って」

私がそう言いうと、『サラリーマン金太郎』のカド台に座った裕子はピースサインを振った。それを確認してから、私は確保券を下皿に放り込んでおいたジャグラーの角2の台へと腰を下ろした。

開店の十時の時点では、300人近い人が並んでいた。店内に客が雪崩れ込むと、真っ先に爆裂AT機、次に大量獲得タイプの大花火などが埋まっていった。あらかじめそれを見越していた私たちは、一階と二階には目もくれず、一直線に三階へと向かった。案の定、三階まで上がってきている客は少なく、狙い通り『サラリーマン金太郎』と『ジャグラー』を確保することができた。

私は千円札をコインサンドに滑り込ませながら、周りの客の顔を確認した。当然のことながら、見知った顔は無かった。ひとまずは雑念を振り払って目の前の台と対峙することにした。

昼を過ぎた頃、7回目のビッグボーナスを引き当て、台上のドル箱に手が伸ばした。このまま順調に伸びてくれればなんとかプラスで帰れそうだ。ドル箱にコインを詰めながらリプレイハズシを淡々とこなしていると、不意に右肩を軽く叩かれた。

振り返ると、裕子が無表情でこちらを見下ろしていた。

「どうしたの?『サラ金』はダメそう?」

裕子は無言で首を振り、私の耳元に手を当てた。

「なんかさ……知らない女の人が話があるって……」

「は?」

裕子は困ったように眉をハの字に曲げ、親指で背後を指差した。私は裕子の背後を見やった。

そこには、ボブカットの女性がひとり佇んでいた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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