六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編57】そっちこそヤメてもらえます?

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真っ直ぐこちらを見つめる五十嵐さんの目は、決意に満ちていた。

「あの……、言っている意味がよくわからないんですが」

「ですから、木部さんにつきまとうのをやめていただきたいんです」

「つきまとってなんかいないですよ。本当に人違いしてませんか?」

「間違ってません。だって、お二人が木部さんをそそのかしてるんでしょう?パチンコは簡単に勝てるって……」

ところどころ訂正したい部分はあったが、五十嵐さんの目的の人物は私たちで間違いないようだ。

「確かに、木部とは何度か一緒にパチスロを打ちに行ったりしてますよ。それを『そそのかしている』と言われると……」

「本当に一緒に行っただけですか?木部さんを引きずり込もうとしてるんじゃないですか?だいたい、パチンコなんか勝てるわけないじゃないですか。お二人だって本当は負けてるんでしょう?」

矢継ぎ早の問いかけに、私は言葉を失った。隣からは裕子の吐き捨てるようなため息が聞こえた。

「とにかく、木部さんは今すごく大事な時期なんです。お仕事もされていないお二人にはわからないかもしれませんけど!」

五十嵐さんは語気を荒らげた。脇を通り過ぎるサラリーマンが何事かとこちらを見ている。私は何と答えればいいのか考えあぐねた。確かに五十嵐さんの言うとおりなのだが……。

短い沈黙が流れた後、裕子が私と肩を組むようにしなだれかかってきた。

「五十嵐みゆさん……だったっけ?あなたの方こそ、アタシたちにつきまとうとヤメてもらえますか?」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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