六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編59】あなたたちみたいに……

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「どうしてですか?大学の同期生なんでしょ?」

そう尋ねても、五十嵐さんはうつむいたままだ。

「同期生っていうか……彼女なんでしょ?」

裕子の吐き捨てるような言葉に、五十嵐さんはハッとしたように顔を上げ、下唇を噛んだ。

「あらら?もしかして『元』だったかな?そいえば木部っちもそんな感じのこと言ってたよね」

「き、木部さん……なんて言ってたんですか?」

五十嵐さんはにわかに色めき立ち、身体を乗り出してきた。想定外の反応に、裕子も一瞬たじろいだように身を引いた。

「彼女とうまくいってないって、前に一緒に呑んだときに言ってたよね?」

「お……おう。別れたとまでは言ってなかったような気がするけど」

木部と居酒屋『一休』で呑んだ夜を思い出そうとしたが、記憶のほとんどがアルコールによって吹き飛んでいて、自分の言葉にまったく自信が持てなかった。

「そうですか……。とにかく、木部さんにパチンコなんかやらないようにお二人からも言って欲しいんです!今頑張らないと、あなたたちみたいに……」

そこまで口にして、五十嵐さんは口を開いたまま固まってしまった。さすがに失言だったと思ったのだろう。私自身は『あなたたちみたいに』と言われても仕方ないという自覚があるので目くじらを立てることはないが、隣から聞こえてきた深い溜息には、明らかに『憤り』が含まれていた。

「話はそれだけ?正吾、戻ろ」

そう言い残して、裕子は店の方へと歩き始めてしまった。私は五十嵐さんに軽く会釈をして、裕子の後を追った。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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