六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編60】自分をプロだなんて……

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店の中に入ってから後ろを振り返ってみたが、五十嵐さんはついてきていなかった。裕子はさっさとエスカレーターに乗ってこちらを手招きしている。私は小走りでエスカレーターを駆け上がり、裕子に追いついた。

「裕子さぁ……気持ちはわかるけど、あんな言い方しなくてもいいだろ。五十嵐さん、ボー然としてたぞ」

「あら、ずいぶんとあの子の肩を持つんですねぇ?そんなにボブカットがお好きですか?」

裕子は手のひらを耳元にあてる仕草をしてみせた。

「別にそういうわけじゃないけどさ……」

エスカレーターが三階へと着いたところで、裕子が私の肩を強く握ってきた。

「なんだよ?」

「ちょっとそこ座って!」

裕子はエスカレーターのすぐ脇に置かれていた休憩用の椅子を指差した。私がそこに腰掛けると、隣りに座った裕子が耳元に顔を寄せてきた。

「あんなこと言われて悔しくないの?」

「まぁ……まったく悔しくないとは言わないけど、向こうの言ってることの方が一般的には正論だからなぁ」

「もー!それでもスロプロなの!?自分の仕事をバカにされたんだよ?」

「いや、俺は一度も自分をプロだなんて思ったことないけど……」

「もっとプライド持ちなさいよ!もう、いいからすぐに木部っちにメールして!」

「なんで?」

「木部っちを鍛え直すの!!いっぱしのスロプロにするために!!」

裕子はサイドテーブルを指先でトントンと叩いた。私は思わず頭を抱えた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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