六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編61】神奈川県町田市

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ボブカットの美少女――五十嵐みゆ――との出会いから5日後。私は裕子を連れ立って町田駅に降り立った。東京都でありながら「ほぼ神奈川県」として認識されることが多いこの町田市。以前、町田市民の友人にそのことを言うと、気色ばんだことを思い出しつつ、お目当てのホール『ZAQ』へと向かった。

「おー!木部っち!」

開店まで30分以上あるが、『ZAQ』の前にはすでに150人近い人が並んでいた。列の中から木部を見つけると、裕子は右手を上げて呼びかけた。

「先輩たち遅いッスよ!」

木部は読んでいたパチスロ雑誌を閉じた。

「悪い、町田って思った以上に遠いわ。っていうかお前、こんな遠くまで打ちに来てるんだな」

「そうッスね。この店、かなりいい感じッスよ。俺もネットで調べてから来たんですけど、ここ数日は毎日通ってます」

「それで……勝ててるの?」

私が尋ねると、木部は口の端を上げて、黙って親指を立てた。

「木部っちやるじゃん!最近は何打ってるの?」

「朝イチからは『ハナビ』か『ニューパル』打ってみて、ダメだったらストック機を拾う感じですね。やっぱり先輩の言ってたやり方が手堅いような気がしてきました。ちなみに、一昨日はそのやり方でこれくらい……」

伸ばした五本の指を見せる木部の顔は、自信に満ち溢れていた。この数日間、このホールでよほど美味しい思いをしたのだろう。どうだと言わんばかりの木部の顔を見ていると、ふとあることに気がついた。

「木部。目の下のクマ、すごいな。大丈夫か?」

木部は持っていた雑誌をあわてて脇の下に挟み、両手で目の下をこすった。

「最近、寝不足なんです。スロプロも楽じゃないッスね」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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