六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編62】北斗の拳かジャグラーか

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「アタシたち、並ばなくていいの?」

裕子が私の肘のあたりを揺さぶった。木部と話し込んでいるうちに列はさらに伸びていた。

「そうだね。じゃあ木部、店の中入って落ち着いたらまた声かけるわ」

「そうッスね。了解です」

木部が敬礼をするように手刀を額にあてると、裕子もそれを真似した。この二人は妙に気が合うようだ。

列をたどっていくと、『最後尾』と書かれた看板を持った店員さんが待ち構えていた。

「最後尾はこちらになりまーす!シマ図が必要なお客様はお声掛けくださーい!」

私は列の最後尾に並び、店員さんからシマ図が印刷されたチラシを受け取った。一階には人気の『北斗の拳』をはじめとするAT機がズラリと並び、二階にはノーマルタイプやストック機が配置されていた。全部で300台強の中規模店といったところだろうか。木部は果たして一階に走るのか、それとも二階なのか。

「どうせ二階に行くんでしょ?」

シマ図を覗きこんでいた裕子が、今度は私の顔を覗き込んできた。

「俺?そりゃあもちろん」

「だよね。また飽きずにジャグラーですか?」

「うーん、どうしようかね」

そう言いながらチラシを裏返すと、前日までの五日間のビッグボーナスの回数が一欄となって印刷されていた。正直、ビッグボーナスの回数だけでは設定状況を推測するのは困難だが、どの程度稼働があったのかくらいは推測できる。

「なんか結構ビッグ回数もついてるみたいだから、『タイムパーク』でも打とうかな」

「あら、ウインちゃん久しぶりじゃない?アタシも隣で打とうかな」

ひとまず朝イチの狙い機種が決まったころ、入店が始まった。粛々と店内へと吸い込まれる人の列。私が店の入り口をまたいだ時、裕子が背中を叩いた。

「木部っち、すっかりスロプロの顔になってたねぇ」

笑顔の裕子に、私は小首を傾げて応えた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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