六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編64】設定5以上は合格しますよ

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五枚目の千円札がペロリとウインちゃんの胃袋に飲み込まれたタイミングで、私は席を立った。

「やめちゃうの?」

「いや、ちょっと木部のとこ行ってくる」

私が言うと、裕子は二度目のビッグボーナスを消化しながら親指を立てた。

開店から三十分ほどしか経っていないが、すでに店内は人でごった返している。客付きは9割といったところだろうか。やはり木部の言うとおり、かなりの優良店なのだろう。

体を半身にしながら細い通路を抜けた先に、『ニューパルサー』のシマはあった。そのちょうど真ん中あたりの台で木部は遊技を続けていた。左手に持ったコインの枚数を数えている木部に声を掛けた。

「よぉ。判別は合格しそう?」

「アレ?先輩、『タイムパーク』はヤメちゃったんですか?」

「あれは裕子プロに任せることにしたよ。設定判別はどんな感じよ?」

私は下皿の左側にある灰皿の中をチラリと見た。十枚くらいのコインが入っているようだ。おそらく判別ゲームで出現した小役の数をカウントしているのだろう。

「たぶんコレ、設定5以上は合格すると思います」

「マジで!?」

私が驚くと、木部は台上のデータ表示機をポンと押した。

「この台、昨日もプロっぽい人が判別やってて、閉店まで打ってたんですよ。でもスゴい引き弱で負けてたみたいですけど。だから据え置き狙いしてみたら案の定って感じッスよ!」

「お……、そうなんだ。やるなぁ」

つい先日までAT機を打ち散らかしていた人間とは思えない冷静な判断力だ。木部の成長に驚きつつ、私は木部の隣の台へと腰を降ろした。

「ところで木部さぁ……。五十嵐さんって知ってる?」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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