六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編65】コイン泥棒ッ!!

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私の口から飛び出た名前がよほど意外だったのか、木部はレバーを叩こうとした右手を止めた。

「……誰ですか、その人?」

「知らない?ボブカットの可愛い女の子。知らないなら別にいいや。今の話は忘れてくれ」

「ちょっ……!」

私が席を立とうとすると、木部があわてて腕を掴んできた。

「何?」

「ちょっ……と、先輩。とりあえず座ってください」

木部は私の肩を押し付けるようにして無理矢理椅子に座らせ、自分の台の下皿からひとつかみ分のコインを私の台の下皿へと放り込んできた。

「五十嵐って……フルネームは?」

「『五十嵐みゆ』さん。知らないなら仕方ないなぁ。じゃあこのコインはもらっていくわ」

「泥棒!!店員さーん!!コイン泥棒ですよ!!」

「デカい声出すなよ!」

周囲の客が怪訝そうな顔でこちらを見ている。私は小さくなって椅子に座り直した。

「なんで先輩がみゆのこと知ってるんですか?」

「俺はなんでも知ってるんだよ」

「冗談はいいですから。なんで知ってるんですか?」

木部の目は笑っていなかった。

「いや……こないだ『極楽園』に打ちに行ったときにさ、突然声かけられたんだよ」

「なんでみゆが先輩に声かけるんですか?意味ワカンナイっすよ!」

「さぁ。俺のことが好きなんじゃない?」

「そんなわけないでしょう!!」

木部が語気を荒らげた。ただの冗談のつもりだったが、全否定されると気分が悪い。

「みゆは……なんて言ってたんですか?」

左手に持ったコインをカチカチと鳴らしながら、木部は尋ねた。

「うーん、なんと言うか……。要するに……」

「『木部っちを立派なスロプロにしてください!』って言ってたよ!」

突然、私と木部の間から裕子が顔を突き出してきた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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