六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編67】俺と『賭け』しない?

←BACK【師弟編66】スロプーやめちゃうの?
手持ち無沙汰だった私は、木部からもらったコインで遊技を始めた。コインがなくならないようにゆっくりレバーを叩き、ゆっくりとストップボタンを押した。すると、素っ頓狂な停止音と共に、下段に『カエル・7・7』という出目が停止した。

「ん?木部、これって……」

私が自分の台を指差して尋ねると、木部は目を大きく見開いた。

「リーチ目ッスよ。スゴイっすね」

「もしかして前の人が引いてた?」

「いや、今引いたんですよ。その前のゲームではリーチ目止まって無かったッスから」

さっきは『タイムパーク』で5000円使って一度も引けなかったのに、『ニューパルサー』ではたったの1ゲームでボーナスとは。珍しいこともあるものだと思いながら、一枚掛けでレバーを叩いた。

その時、ふと数年前の記憶が脳裏をよぎった。その記憶をなぞるように、私はあらぬことを口走った。

「木部さぁ。俺と『賭け』しない?」

「なんすか、急に」

「このボーナスがビッグだったら俺の勝ち。レギュラーだったら俺の負け」

それは、私がスロットを覚えた当時の記憶だった。私にスロットを教えてくれた友人が失踪した。その姿を追うように足を向けたスロット屋で、3000円だけと決めて打ったプチマーメイドの告知ランプが灯った。その時、思った。これがレギュラーだったらスロットはもうヤメよう、と。

その結果、私は今もスロットを打ち続けている。

「それで、何を賭けるんですか?」

木部が困ったような表情で尋ねてきた。

「もし、ビッグだったら……お前はスロットをヤメて就職活動に戻る。レギュラーだったら……好きにすればいいさ」

→NEXT【師弟編68】ヤメます……たぶん

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

7月≫
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

戻る