六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編69】カチ盛り二箱さて何枚?

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木部との賭けに負けた私は、裕子と『タイムパーク』で実戦を続けた。だが、夕方になる頃には二人とも敗戦を認めざるをえない状況になっていた。

「ノマれちゃったよ。どうする?」

「ほかに良さそうな空き台も無いからね。木部に声掛けてから帰ろうか」

私が言うと、裕子は唇を突き出して席を立った。通路に別積みされたドル箱を横目で見ながら『ニューパルサー』のシマに近づくと、木部の後ろ姿があった。頭上にはカチ盛りにしたドル箱が二つ見えた。

「木部、スゲェな」

「アレ!?先輩たち、ヤメちゃうんですか?」

私が声を掛けると、木部は驚いたようにこちらを見上げた。

「裕子もノマれちゃったからね。今日は『タイムパーク』はハズレだったっぽいね」

「そうっすか。昨日は結構出てたんですけどね」

「でも、この店いいね。かなり高設定使ってるっぽいし。俺らも今後ちょくちょく来るわ。『極楽園』もお前に教えてもらったし、最近は俺のほうが教わってばかりだな」

「木部っちの方がよっぽどプロだよ!」

裕子がしたり顔で言うと、木部は照れたような笑みを浮かべた。

「まぁとりあえず、またメールくれよ。五十嵐さんにも連絡しとけよ!」

ポンと木部の肩を叩くと、木部は黙って首を傾げた。

店の外に出ると、街がオレンジ色に染まっていた。

「木部っち、スロプーヤメると思う?」

裕子が私の手を握りながら顔を覗き込んできた。

「さぁ。本人が決めるさ」

私は肩をすくめて答え、駅へと歩き始めた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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