六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編75】悶絶する、二人

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向かいの席に座った五十嵐さんが、爽健美茶のストローに口をつけた。その薄い唇には桜のような淡いピンク色の口紅が塗られていて、なんとも言えないセクシーさを醸し出していた。次の瞬間、ふと五十嵐さんが視線をこちらに投げかけてきた。私は思わず窓の外の雑踏へと視線を外した。

「で、どんなご用件ですか?五十嵐みゆさんでしたっけ?」

裕子がグラタンコロッケバーガーの包み紙を開けながら尋ねた。視線はグラコロを見つめたままだ。

「はい……あの。何から話せばいいのか……」

五十嵐さんがそこまで口にしたところで、隣の裕子が椅子から10cmほど飛び上がった。

「うっ!熱っつ!ふぁにコレ!」

かぶりついたグラコロが余程熱かったのだろう。裕子はまるで鯉のように口をパクパクさせてから、慌ててコーラに口をつけた。私が呆れていると、五十嵐さんが裕子にハンカチを差し出した。

「気をつけてくださいよ。グラコロはお店によって熱かったり適温だったりするのは常識じゃないですか」

少なくとも私はそんな常識を聞いたことはなかった。そんなことよりも、裕子がそのハンカチを素直に受け取ったことが意外だった。裕子は受け取ったハンカチで口元を軽く拭き、その面を内側にして畳み直した時……

「んん!……熱っつ!」

今度は目の前で五十嵐さんが悶絶し始めた。この二人は何をやっているんだと再び呆れていると、裕子が肩を震わせて笑いをこらえながらハンカチを差し出した。それを受け取った五十嵐さんの顔は耳まで真っ赤になっていた。

この二人、意外と仲良くなれるのではないだろうか。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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