六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編76】マックのハンバーガーはAカップ

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二人の間には、打ち解けたような、むしろ壁が高くなったような、そんな妙な沈黙が流れていた。私はこの状況を面白がって、少しのあいだ黙って見守ることにした。窓の外には渋谷を闊歩する若者があふれていた。スロットか裕子の買い物の付き合い以外ではとても私のような人間が来る街ではない、そんな雰囲気が流れていた。

「五十嵐さんって何歳なの?」

唐突に裕子が口を開いた。

「二十二です。大学四年生ですから。森……裕子さんでしたよね?裕子さんはおいくつなんですか?」

「レディーに年齢訊くなんて失礼じゃない!?」

「お前が最初に訊いたんだろ」

私は軽く鼻で笑いながら裕子の発言にツッコミを入れた。これで場が和んで会話も弾む……と思われたが、二人はピクリとも笑っていなかった。いかんともしがたいこの状況を打破すべく、私はとりあえず適当な話題を提供してみた。

「それにしてもマックのハンバーガーはペチャンコだなぁ。Aカップくらいか?」

刹那、二人の視線が私の身体を貫いた。私はすぐに窓の外へと視線を戻した。我ながら何を言っているのかと後悔が脳裏を駆け巡る。ちなみにこの二人は『良くてダブルチーズバーガー』といったところだろうか。包み紙を開けてみたら……なんてことは、思っても口に出してはいけない。

そんな私の愚かな冗談が呼び水になったのだろうか、二人の会話が徐々につながりを見せようとしていた。

「お二人は、まだパチスロなんかやってらっしゃるんですか?」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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