六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編80】ふたりで晴れてジャグラーガールズ

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食事休憩を終えると、我々三人は『極楽園』へと戻った。運良く、私が打っていた『ジャグラーガール』の左隣が空き台となっていた。

「こっち座って!」

私が座っていた台に裕子が座ると、左隣の席をトントンと叩いて五十嵐さんを促した。五十嵐さんは椅子と椅子の狭い隙間に身体を滑りこませながら、なんとか着席し、バッグを膝の上に乗せた。

「財布出して!バッグは足元に置く!」

裕子が矢継ぎ早に指示を出す。口調は乱暴ではあるが、裕子の五十嵐さんを見るその顔はどこか穏やかで、この状況を楽しんでいるようにも見えた。そんな裕子の態度とパチスロ屋の雰囲気に飲まれているのか、五十嵐さんは終始あたふたしている。

「次は千円札を取り出す!」

裕子が五十嵐さんに顔を近づけて、二人の間にあるコインサンドを指差した。五十嵐さんは財布を手に取った。薄いブラウンの長財布で、留め金には『chloe』と刻印されている。ブランド品には全く興味はないが、確かこれは以前に裕子が欲しがっていた『クロエ』というブランドだったように思う。

そのブランド品の財布のいくら位するのか想像もつかないが、財布の札入れには7、8枚の紙幣が顔をのぞかせていた。一瞬しか見えなかったが、全て同じ紙幣――千円札のようだ。学生としてはこれで十分なのだろうが、これからスロットを打つというならば話は別だ。

私は裕子が無茶をしないように見張るために、しばらくこのまま二人の間から見守ることにした。すると不意に、裕子が私の顔を覗き込んできた。私が眉を上げて「何か?」と尋ねると、裕子は黙ったまま口の端を上げ、満足気に頷いた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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