六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編82】GOGO!ランプが頼みの綱

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「あとは適当に止めるだけだよ」

裕子は自分の台のストップボタンを何度か叩いてみせた。五十嵐さんはそれを受けて、目の前の台のストップボタンをカツン、と押した――右から。

スロットを打ち慣れているものならば当然のことと思える『順押し』も、初心者には通用しなかった。裕子は少し顔を伏せてニヤニヤと笑っている。それを見て私も思わず笑ってしまった。

「ひ・だ・り・か・ら!」

裕子は五十嵐さんの台へ左手を伸ばして、左・中の順でストップボタンを押した。

「はい!ボーっとしないで次ッ!」

裕子は五十嵐さんの台のコイン投入口を指先で叩いた。五十嵐さんはせっつかれるようにコインを3枚投入し、レバーを叩いた。満足気に笑みを浮かべる裕子の顔を見て、五十嵐さんが首を傾げながらリールを指差した。

「コレって……みなさんはドコに何があるのか、見えるんですか?」

「だいたい見えるよ。見えなきゃ『7』揃えられないじゃん」

五十嵐さんは驚いたように息を呑んで肩を上げた。裕子はさして目押しが上手いということはないのだが、その顔は自信に満ち溢れていた。

「じゃあ……みなさんはいつでも『7』を揃えられるんですか?」

ここだ。ここが初心者にスロットを教える時に立ちはだかる最初の壁だ。――ボーナスフラグが成立すれば『7』が揃う――分かっているものからすればただそれだけのことなのだが、初心者にはなかなか理解してもらえない。

五十嵐さんの問いに、裕子はかぶりを振ってから左手をグイッと伸ばした。

「ココが光ったら『7』揃うけど、光ってなかったらどんなに狙っても『7』揃わない。お分かり?」

裕子は落ち葉のネイルアートが施された人差し指の爪で、GOGO!ランプをカツカツと叩いた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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