六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編83】戦闘、開始

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「まぁとにかく、しばらくやってみなよ。だんだんわかってくると思うからさ」

そう言って裕子は自分の台に向き直って遊技を開始した。お節介なのか放任主義なのかよくわからない鬼教官だ。五十嵐さんは困惑したような表情を浮かべて私の方を見上げてきた。前髪の隙間から覗く八の字に曲がった眉が、否が応でも庇護欲を掻き立てる。隣の誰かさんからは最近めっきり感じなくなった感覚だ。私は動揺を隠しつつ、自分にできる最高の笑顔を作って大きく頷いてみせた。

「とりあえず裕子に習った通り、打ってみてください。つまらなかったらヤメちゃってもいいですし」

私が耳元で言うと、五十嵐さんは少しだけ頬を緩め安心したような表情を見せた。その刹那、右肩に鈍痛が走った。

「一回くらいビッグ引かないとスロットの面白さなんかわかるわけないでしょ?せっかくここまできたんだから、覚悟決めてやりなよ!」

裕子が私の左肩に握りこぶしを振り下ろして、言った。それを聞いた五十嵐さんは、さっきまでの可愛らしかった八の字眉毛を真一文字に直し、台へと向き直った。私は左肩をさすりながら身体を起こし、一歩下がって二人を見守った。

いつものように慣れた手つきでサクサクと消化する裕子と、たどたどしい手つきで1ゲームずつゆっくりと消化する五十嵐さんの、よくわからない勝負の幕が上がった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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