六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編84】パチスロは、甘くない

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パチスロはそんなに甘くない。いや、甘い機種というのは存在するのだが、幸運に恵まれなければどんなプロだって敗走を余儀なくされることはよくあることだ。

五十嵐さんが投入した最初の千円分のコイン――50枚はすぐにジャグラーガールのおやつとなってしまった。裕子は無言でコインサンドを指差した。五十嵐さんは一瞬躊躇したように見えたが、すぐに膝の上に置いた財布から千円札を取り出し、コインサンドへ滑り込ませた。

裕子も裕子で、慣れた手つきを自慢するように高速で消化しているものの、全くペカる気配がない。順調に下皿のコイン――元々は私のコイン――を減らしている。

五十嵐さんが二枚目の千円札で借りた50枚のコインも、ホッパーのコインの嵩を増やすためだけに費やされた。裕子は当然といった表情でコインサンドを指差した。私はたまらず声を掛けた。

「無理しないでいいですよ。スロットってそんなに簡単に当たるものじゃないですからね」

私が言うと、五十嵐さんは不安そうに眉を八の字に曲げた。どうやら私はこの表情をされると弱いらしいと、今確信した。隣から裕子が私の肩を叩いているが、無視した。

「普通はいくら位で光るものなんですか?コレって……」

五十嵐さんはパネルの左下で沈黙を守るGOGO!ランプを指差した。

「分かりません。次の千円で光るかもしれませんし、あと一万、二万使っても光らないかもしれません」

私の言葉に、五十嵐さんは表情をさらに曇らせた。無視していた裕子の方を見ると、無表情ではあるが私にだけ分かる程度に眉根を寄せていた。私は裕子の背中をポンと叩いてから五十嵐さんに言った。

「あと千円だけやってみたらどうですか?」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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