六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編85】告知音、女子の腰を動かす

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私の助け舟に、五十嵐さんは安堵の表情を浮かべて乗船してきた。

「はい……そうします。アタシ、今日はお金もあまり持ってきてないので」

「いいんですよ、こっちだって無理矢理誘ったんですから」

私は裕子を指差しながら、五十嵐さんに言った。裕子は明らかに不満そうに口を曲げていた。だが、学生である五十嵐さんにこれ以上投資を続けさせるのも悪いと内心は思っていたのか、私の提案に反旗を翻すようなことは口にしなかった。

三枚目の千円札が、乾いた音を伴ってコインサンドから吐き出された。五十嵐さんは慣れない手つきで下皿にコインを移した。その横顔は真剣――というよりもむしろ悲壮感が漂い始めていた。

パチスロにおいての三千円など初期投資もいいとこだが、よくよく考えてみれば十分足らずで消費してしまうのだからそれなりに高価な遊びであることは間違いない。

五十嵐さんは口を真一文字に閉じ、リールを凝視しながら遊技を再開した。私も無意味と分かっていながらも、心の中でGOGO!ランプがペカることを強く念じた。

そんな思いが通じたわけではないだろうが、下皿のコインが残り僅かになったところで、あの衝撃的な告知音が三人の間に響き渡った。瞬間、五十嵐さんと裕子が椅子から5センチほど腰を浮かした。
GOGO!ランプが点灯したのは、五十嵐さんの台だった。

「やりますねぇ!光りましたよ、ホラ!」

私がGOGO!ランプを指差すと、五十嵐さんはそれで初めて気がついたように目を丸くした。裕子は告知音に驚いてしまったことを隠すように椅子に座り直し、五十嵐さんの台に左手を伸ばした。そのままコインを一枚だけ投入して、レバーを叩いた。

「『7』狙って。たぶん揃うから」

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  • 願えばペカる!……のならば、こんなに翻弄されることも無いのに。願えばペカる!……のならば、こんなに翻弄されることも無いのに。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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