六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編90】右リールの目押しをミスする能力

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ジャグラーの右リールは『7』と『BAR』が一箇所に集まっているので、目押しが苦手な人でも比較的狙いやすい配列になっている。そのため、GOGO!ランプが点灯したら右リールを先に停止させる人も多い。

裕子はさっきまでとはうって変わって、余裕を見せつけるかのように脱力した手つきで右リールを停止させた。

停止した右リールの枠内には、ボーナス図柄の影も形もなかった。

「止めるの遅いよ!油断しすぎ!下手ッ!」

私は冗談めかして裕子の頭を軽く叩いた。裕子はキッとこちらを睨みつけてきた。その顔は耳まで真っ赤になっていた。

「うるさいな!ちょっとミスっただけじゃん!だいたいいつまでここにいるんだよ!正吾はさっさとアタシの『サラ金』打ちなさいよ!アッチ行け!」

裕子は野良犬でも追い払うかのように、手の甲を扇いだ。私は五十嵐さんと顔を見合わせると、五十嵐さんは駄々っ子をなだめる保育士のように穏やかな笑みを浮かべた。

裕子はさっきよりも少しだけ早いテンポで『BAR』を一直線に揃えた。それを見て、五十嵐さんは胸の前で小さく拍手を送った。裕子はそれが嬉しかったわけではないだろうが、はにかんだような表情を返した。そして私の方を見るなり、

「早くアッチ行け!」

と、口を尖らせた。

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長崎 正吾

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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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