六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編92】人が変われば台変わる

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さっきまでは面白いように出玉の洪水だった台が、打つ人が変わったとたんに黙秘権を行使し始める。もちろん、そんなものは結果論だと一笑に付すことは簡単だが、それが自分の身に降りかかってくると、何やら陰謀めいた妄想が脳裏を駆け巡り始める。
裕子が打っていた時はサクッとボーナスも『金太郎チャンス』も引いていたはずのこの台。私が打ち始めると、なぜかコイン専用貯金箱へと変貌してしまったようだ。岩山のように下皿に満たされていた裕子のコインが、石を切り出す採石場のように右側から削られていく。

普段ジャグラーばかりを打っている私には爆裂AT機を打ちこなす力量はないのだろうと観念し、コインを減らさないようにゆっくりと消化することにした。

ふと背もたれ越しにジャグラーのシマを見やる。この場所からだと、五十嵐さんの横顔がちょうど見える。五十嵐さんが裕子に笑顔を見せていた。会話の内容はここまでは届かないが、当初のぎこちなさはもう無くなったのかもしれない。

しばらくすると、二人は携帯電話を取り出して何やら話し込んでいた。もしかすると連絡先の交換でもしているのだろうか。女子同士の友情の育み方は男の私にはよく理解ができないが、いがみ合うより断然良い。私は黙って遠巻きから二人の様子を見守り続けた。

下皿にあったコインの7割程度を消費したところで、ようやく熱い演出が発生し、ナビ矛盾が起こった。レギュラーではないことを強く願いながらレバーを叩いた。左リールに『7』が停止する。どうやらビッグボーナスのようだ。

ホッと胸をなでおろし、中リールに『7』を狙おうとしたとき、視界の端に異変を感じた。

そちらに顔を向けると、五十嵐さんが席を立ち、手を振り乱している。まるで裕子に罵声でも浴びせているようにみえた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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