六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編95】『高確A』をも捨てる状況

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ボーナスを消化し終えた私は、クレジットをすべて落とし、ドル箱にコインを詰め始めた。すると、隣で打っていた学生風の男が明らかにそわそわしはじめた。

それもそのはず。『サラリーマン金太郎』はビッグ終了後に『高確A』にモード移行するのだから、ビッグ後の即ヤメなど愚の骨頂。ここから『金太郎チャンス』に突入させるのが大量出玉への王道なのだ。それなのに隣で打っていた人がビッグ終了後にクレジットを落としてコインをドル箱に詰め始めたのだから、挙動不審になるのも無理は無い。

案の定、学生風の男が声をかけてきた。

「あの……、ヤメちゃうんですか?」

男は手に携帯電話を持っていた。

「えぇ。打ちますか?」

「イイんスか!?それじゃあ……」

男は目を爛々と輝かせ、私の台の下皿の隅に携帯電話をそっと置いた。普段ならばこんなオイシイ状況で台を譲ることなどありえないが、今は『高確A』よりも大切なことがある。

コインを詰め終わった私に、男が満面の笑みで会釈してきた。顔は笑顔だが、早くどいてくれと言わんばかりの勢いだ。私はドル箱を両手で持ち、席を立った。男に軽く笑みを返し、裕子の待つジャグラーのシマへと向かった。

裕子はまたビッグボーナスを引き当てていた。淡々とボーナスを消化する裕子の後ろ姿は、どこか寂しそうに見えた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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