六本木ヒルズからの七転八倒

【師弟編96】必殺『ブラジル打ち』

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私は裕子の左隣――さっきまで五十嵐さんが打っていた台に座り、サラリーマン金太郎で獲得したコインを下皿へと流し込んだ。裕子は三回目の小役ゲームに入り、リプレイハズシを敢行するところだった。チェリーが1コマ上についている『7』を上段に狙えばリプレイが外れる。

3~4周リールが回り、裕子は意を決したように親指が振り下ろした。

――いわゆる『ブラジル打ち』

狙った『7』の真逆で左リールが停止した。右下がりにリプレイが揃い、ボーナスゲームがスタートした。リプレイハズシは見事に失敗した。

裕子は小さくため息をつき、力なくレバーを叩いた。私は数枚のコインを台に投入し、ゆっくりと遊技を開始した。データ表示機に視線を上げると、結局五十嵐さんは一度ビッグボーナスを引いただけのようだった。

ビッグボーナスを消化し終えると、裕子は背もたれにだらしなく身体を預け、黙って私の顔を見上げた。

「何があったのさ?」

私が尋ねると、裕子は悲しげな目をして少しだけ首を傾げた。私が真似をするように小首を傾げてみせると、裕子は僅かに笑みを浮かべ、下皿のコインを掴みとった。

「別に何も無かったよ。お互いに言いたいこと言い合ったらこうなっちゃっただけ……」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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