六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編04】剥き揚げ出し豆腐

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寺山さんのつぶやきに、私たちは色めき立った。

「合コンって、うら若き男女が生涯の伴侶を探すべく、広めのカラオケボックスでイチャコラするアレれすか?」

さっきまでベロベロに酔っ払って突っ伏していた杉本さんが、おもむろに顔を上げてまくし立てた。

「まぁ、大げさに言えばそうだな」

寺山さんは得意気だ。

「アテはあるんですか?女の子の」

普段は色恋に疎い私だが、この時ばかりは身体が前のめりになった。

「まぁな、ないこともないよ」

寺山さんはアゴを突き出し、私を見下ろすような格好で言った。

「イイね!やろうぜ!」

「森下!お前彼女いるだろうがよ!」
「そうですよ!森下さんは彼女いるんだからダメですよ!」
「そうられ!森下れぇ!彼女とイチャコラしてればいいんじゃないれすかれぇ!」

思わぬ集中砲火を浴びた森下さんは、唇を突き出して納得のいかないような表情を浮かべている。

「で、女の子は何人くらい呼べるんれすか?」

「どうだろうね、3~4人くらいなら大丈夫なんじゃないかな?」

「おぉー!」
「おぉー!」
「おぉー!」

「森下は黙ってろよ」

「……」

寺山さんの冷たい言葉に沈黙してしまった森下さんは、憮然とした顔で揚げ出し豆腐に箸をつけた。寺山さんは続ける。

「じゃあ俺が女の子に声掛けてみるから、俺と杉山と長崎くんの三人でやろうか!」

「いーんじゃらいれすか!大賛成れすよ!」

「僕もオッケーです。合コンとか初めてですけど、大丈夫ですかね」

「大丈夫だよ、ただの飲み会だと思えば」

今までにない浮ついた展開に盛り上がる三人とは対照的に、森下さんは揚げ出し豆腐の外側の部分を剥ぎ取ってただの豆腐にする作業に没頭していた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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