六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編07】良い知らせ、悪い知らせ

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「どうでした?女の子たち、来るんですか?」

あきらめムードの杉本さんに代わって、私は寺山さんに尋ねた。

「良い知らせと悪い知らせがある。どちらから聞きたい?」

寺山さんは携帯電話で顎をコンコンと二度叩き、いたずらっぽく眉を上げた。

「出た出た!この思わせぶりなねー、質問返し!これだかられー、小説家志望はねー、面倒くさいんれすよー!」

「お前も小説家志望だろ!まったく……」

寺山さんは椅子に腰掛けると、空になったグラスを頭上に掲げ、店員さんを呼ぶ仕草をした。

「じゃあ……良い知らせから聞かせてください」

私は身体をテーブルの上に乗り出すような格好で、良い知らせを催促した。

「良い知らせの方はね……あと5分もすれば女の子たちが到着するってさ」

私は思わず「おぉ!」っと声を上げた。隣の杉本さんも身体を勢いよく起こして目を見開いた。

「やっぱりれー、寺山はれー、やればできる男だとれー、思ってた!」

杉山さんはテーブル越しに寺山さんの肩をバンバン叩いた。ついさっきまで真逆の事を言っていたというのに、現金な人だ。

「じゃあ、悪い知らせの方は何なんですか?」

私の質問に、寺山さんは口をへの字に曲げ、眉間にシワを寄せた。

「うん……。ひとり、ドタキャンされたらしい。だから二人しか来ないって」

「だー!もう!」

杉本さんは椅子から転げ落ちんばかりに仰け反って頭を抱えた。こちらは三人で女の子が二人。こんなことでうまくいくのだろうか。

「まぁ仕方ないとあきらめてくれよ。ちなみに一人が俺の知り合いの『森裕子』で、もう一人はその友達の……『大久保』さんって言ってたかな。下の名前は本人に直接聞いてくれ」

寺山さんはそれだけ言うと、いそいそとおしぼりでテーブルを拭き始めた。私も空いたグラスを店員さんに渡し、これから来る二人分のスペースを確保した。杉山さんは酔をさますためなのか、しきりに両手で顔をこすり続けていた。

その時、店のドアが開く音が聞こえた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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