六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編09】魔性の女、ふたたび

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私は目を疑った。帽子を取ったその女性は、若干離れ気味の目と基礎メイクをしているかどうかも怪しいすっぴん顔。地味目なパンツルックにルイ・ヴィトンのバッグ。何より特徴的なのは、腰まで伸びる長い髪だ。

間違いない。

雀荘『ライズ』で働いていた頃に堀口と出会い、そして堀口と共に行方をくらませた、あの『千夏』さんだ。

堀口は今、どこで何をしているのか。『足して20の男』はどうなったのか。そして、千夏さんは本当に『足して20の男』と繋がっていた『美人局』だったのか。とうの昔に封印していたはずの記憶が鮮やかに蘇る。

「はじめまして」

千夏さんは私の方を軽く見て会釈をした。私は何も言わず、じっと視線を合わせた。千夏さんはすぐに視線をはずしたが、次の瞬間、ハッと目を見開いた。私のことを思い出したのだろうか、千夏さんは手に持っていた帽子で口元を隠し、うつむいてしまった。

「じゃあどんな感じで座りましょうか?」

寺山さんが慣れた口調で場を仕切る。

「千夏、寺山さんの隣に座れば?アタシはそちらのお二人の間に座ろうかな」

「オッケー!じゃあそれで」

幸か不幸か、私の隣には裕子さんが座ることになった。その隣には杉本さんが座り、向かいの席に寺山さんと千夏さんが座った。

「失礼しますね」

裕子さんが隣に座ると、柔らかい香水の匂いが鼻孔をくすぐった。裕子さんはおそらく私よりも結構年上だと思われるが、その丸みを帯びた頬は、少女のように白く美しかった。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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