六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編10】HANABIのドンちゃん

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「男の間に美女が座ってねー!なんかキャバクラみたいれすねー!行ったことないけど!」

出会って数分の女性をキャバ嬢扱いするという杉山さんの下衆なギャグだったが、これで場の空気が軽くなった。

「最初は生?生でいい?あ、女性に生でイイ?とか聞いちゃった!」

杉山さんの下衆なギャグが止まらない。だが、それを聞いた裕子さんは、口元を手で抑えながらこちらを向き、私の肩を軽く叩いて笑った。今日ばかりは杉本さんの品の無いギャグに感謝しなければならない。

ふと斜め向かいの席を見ると、うつむき加減で苦笑いをする千夏さんの姿があった。それが杉本さんの下ネタに対して反応に困っているからなのか、突然私と再会してしまったバツの悪さからなのかは分からなかった。

「とりあえず、今日の出会いにかんぱーい!」

「かんぱーい!」

運ばれてきたグラスを軽く鳴らし、アルコールを流し込む。千夏さんとの再会と、裕子さんとの出会いで私の心は激しく揺さぶられたが、酒を飲むことで少しだけ落ち着きを取り戻した。

裕子さんが隣の杉本さんと談笑している間、斜め向かいに座る千夏さんに、静かに視線を送ってみた。だが、千夏さんは頑なにこちらを向こうとしない。やはり、後ろ暗いところがあるのだろうか。

「ねぇねぇ」

ボーっと千夏さんの方を見ていた私は、突然隣から呼びかけられて我に返った。

「はい!」

「長崎さん……だったっけ?携帯って何使ってるんですか?」

裕子さんが小首をかしげて尋ねてきた。私が慌ててポケットから携帯を取り出すと、

「あ!同じだぁ!」

まるで少女のような甲高い声を出し、裕子さんは自分の携帯を取り出して見せた。それは、シールでデコレーションされてはいたが、確かに私と同じ機種の色違いのものだった。共通点が見つかったことも嬉しかったのだが、それ以上に気になるものを見つけた。

「あれ、そのストラップって……」

「ドンちゃん!もしかして知ってますか!?」

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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