六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編13】毒を食らわば皿まで

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翌日の土曜日。我々三人は、まだ陽が高いうちから昨日と同じく『一休』で管を巻いていた。職場が大学の中の売店ということもあり、土曜日はいつも14時に仕事が終わるのだ。

「千夏っちゃんはれー、全然ダメれしたよー。なーんか反応悪くってねー」

昨日から酔っ払いっぱなしの杉本さんは、千夏さんとうまくいかなかったことを嘆いている。私は心の中で、ホッと胸を撫で下ろした。

「その点、長崎くんは良かったね。裕子さんといい感じだったじゃん。今度二人で会うんでしょ?」

寺山さんは頬杖をつきながら、だし巻き卵を頬張った。

「いやぁ……そうなんですけどね……」

私は悩んでいた。本当に裕子さんに近づいてよいのだろうか、と。もちろん、昨日話しをした限りでは、裕子さんは本当に良い人に思える。スロットという共通の趣味もあるし、麻雀にも興味があると言っていた。おあつらえ向きとすら思える人だ。

だが、それでも躊躇してしまう理由は、千夏さんの存在だった。別に千夏さんにも気があるというわけではなく、千夏さんの友人に近づいても大丈夫なのか?という懸念だ。もし千夏さんが堀口を陥れた美人局だったとしたら、その友人である裕子さんも……。

そう思うと、一歩踏み出してもよいものか、決断できずにいた。

「なんで?裕子さん、良い人そうだったじゃん。なんかイヤなとこでもあったの?」

私の心を見透かしたかのように、寺山さんが尋ねる。

「鼻くそでもほじって食べてたんじゃならいんれすかねー、可愛い顔してー」

杉本さんはすっかりやさぐれてしまっている。寺山さんは呆れ顔で杉本さんの頭を無言で叩いた。そんなやりとりを見て、私はこの二人に全てを聞いてもらおうと思った。

実は千夏さんと面識があった事、以前の職場で出会った堀口という男の事、そして千夏さんが美人局に関わっていたかもしれない事、を。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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