六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編14】とある作家の思慮分別―ジャッジメント―

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「へー、そんなことがねぇ。おばちゃん!レモンサワーおかわり!」

「なんか、アレれすねー。小説のワンシーンみたいな話れすねー」

二人は美人局騒動の話を真剣に聞いてくれた。

「でも、お二人とも。誤解しないで欲しいのは、千夏さんが美人局だったという確たる証拠は何も無いですからね。その堀口って男も、何人も彼女がいたようなヤツですから。他の女だったって可能性も全然ありますからね」

私は二人の考えが偏らないように、千夏さんのことをフォローした。

「なるほどね。で、仮に千夏さんが美人局だったとしたら、裕子さんもそれ相応の人物ではなかろうか、と」

「じゃあアレれすねー、次のターゲットは長崎くんってことになりますれー!」

そういう言い方をするなよと、寺山さんは杉本さんのおでこを小突いた。だが、私が懸念しているのは杉本さんが言ったとおりのことだ。

「で……今の話を聞いて、お二人ならどうしますか?」

私は二人の顔色を伺うように尋ねた。二人は「うーん」と声を合わせて唸った後、しばらく黙りこんでしまった。

土曜日の店内はサラリーマン客がほとんどおらず、昨夜の喧騒がまるで嘘のように閑散としている。店の看板娘――という名のおばちゃん――も、椅子にどっかりと腰を下ろしてテレビに食い入っている。

「そうだな、ミステリー小説も書く俺に言わせるなら……」

静かに寺山さんが口火を切った。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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