六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編15】再燃、美人局疑惑

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「次も会ってくれるのならば、おそらく大丈夫。美人局ではないよ」

「なんで!?なんでだよ、このへっぽこ作家!?」

テーブルに突っ伏したまま枝豆の皮をしゃぶっていた杉本さんが、話の腰を折った。

「うるさいな!この永遠の見習い小説家が!」

寺山さんも容赦なく応戦する。やはりいくら酒が入っていようとも、二人とも物書きとしてのプライドは譲れないものがあるようだ。寺山さんは気を取り直すように、グラスの底に僅かに残ったレモンサワーをグイッと飲み干し、言葉を続けた。

「だって考えてもみなよ。仮に千夏さんが以前に美人局をやってて、今回は裕子さんが長崎くんをターゲットにしたとしよう。それなら、今頃千夏さんが裕子さんに話してるさ、以前に長崎くんの友達の堀口って男に美人局を仕掛けたことがあるから、警戒されちゃうよ、ってね」

私と杉本さんは顔を見合わせた。確かに、言われてみればその通りだ。

「だから、とりあえず次のデートを取り付けてみなよ。そこで渋られるようなら美人局の可能性があるからスッパリ諦める。で、もし会ってくれるなら、その時にハッキリと聞いちゃえばいいんじゃない?千夏さんって悪いヤツなんですか?って」

そう言って寺山さんは少し得意げに眉を上げた。

「でーもねー、ミステリー作家様だったらねー、もうひと捻りくらい話の展開が無いとれー、つまんないんじゃないんれすかれー」

その言葉が終わるかどうかというタイミングで、寺山さんが投げた枝豆の皮が杉本さんの顔面にヒットした。

その日の夜、私は初めて裕子さんにメールを送信した。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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