六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編18】小動物、リールを回す

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「7を狙い分けるなんて絶対無理でしょ!」

そりゃあ7もBARも目押しできない人に、2つある7を狙い分けろなんて土台無理な話。だから私は無理にやらなくても、と言ったのだ。だが、この現状からスキルアップしていき、ゆくゆくはリプレイハズシを完璧に出来るようになれば、もっとスロットを好きになってくれるだろう。初心者の頃の私がそうであったように。

もちろん、その過程で私のことを見直してくれれば尚良し、という邪な考えが無いと言ったら嘘になる。

「切れ目の7は……コレです」

私は裕子さんの台に右手を伸ばし、トンッとストップボタンを押した。左リールには『7・ベル・ブドウ』が停止し、見事にリプレイが外れた。

裕子さんはピョンと小さく椅子の上で飛び跳ね、目を丸くしてこちらに視線を向けた。

「スゴイ!今、ホントに見えてたの?今日から『先生』って呼ぶ!」

白い肌に薄く入れた桜色のチークが、ほんのり赤さを増しているように見えた。私は思わず頬が緩み、心臓の鼓動が高鳴った。

「こ……ここに、あの……切れ目があるんですよ」

裕子さんはベットボタンに三つ指をつくような格好で、まるで小動物のように左リールを覗きこんだ。その姿が実に愛らしく、私は動揺を隠すことができなかった。

「あの……リールが回転する時、この……この切れ目がガックンガックンってブレるんですよ。それを目印に止めればいいんですよ」

私は平静を装って、至ってクールに説明を終えた。裕子さんは私の説明を聞いてウンウンと頷くと、

「分かった、やってみる。あと、敬語禁止ね」

そう言って、レバーを叩いた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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