六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編24】犯罪者なんですか?

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私は、自分がしでかしたことをようやく理解した。完全に勘違いさせてしまっている。だが、思い返してみると自業自得だ。曲がりなりにもデート中に他の女性の事をあんな風に訊いていたのでは、誰だって気分が良かろうはずもない。私は息を整えながら、釈明した。

「違うんです。そうじゃなくて……」

「何が違うの?千夏のことが気になるんでしょ?千夏に連絡してあげようか?」

裕子さんは私から視線を外し、掴まれていた腕を軽く振りほどいた。もはやイチから説明していたのではラチが明かない。そう感じた私は、一切の途中経過を端折って、結論だけをぶつけた。

「だから……そうじゃないんです。あの……千夏さんって、犯罪者なんですか!?」

我ながらとんでもない物言いだと思う。場合によっては余計に機嫌を損ねて、裕子さんとの関係が修復不可能な状況に陥ることも考えられた。だが同時に、この聞き方ならば、私の話に耳を傾けざるを得ないであろうという思惑もあった。

「はぁ?どういうこと?」

もくろみ通り、視線を外していた裕子さんが私の目を見てくれた。その顔は、突然飛び出してきた『犯罪者』という単語に驚き呆れているのか、今にも笑い出しそうなほど口角が上がっていた。

多くの人が行き交う新宿の路上で、私は裕子さんの誤解を解くために必死で説明した。実は千夏さんとは以前に面識があったこと。その時の友人が美人局に遭い、恐喝されていたこと。その事件に千夏さんが関わっているのではないかと疑っていること。

「だから、千夏さんのことを聞き出そうとしてたんです。ホント……すみません」

ひと通りの説明を終え、私は右手で顔の半分を隠しながら謝罪した。その右手の指先に、額から流れる汗を感じた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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