六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編25】人生はワンツーパンチ

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「ふーん、そうなんだ。なるほどねぇ……」

私の話が全て終わると、裕子さんは訳知り顔で腕組みをしてこちらを見つめた。それから五秒ほどの沈黙のが続いた後、裕子さんは腕組みを解いた。

「わかった。アタシもちょっと話したいことがあるから、とりあえず戻ろっか」

そう言って裕子さんは店のほうを小さく指差した。どうやら誤解だけは解けたようだ。安堵した私は肩の力が抜け、思わず大きなため息を吐き出してしまった。それを見て、裕子さんが少しだけ笑ってくれた。裕子さんが店を出て行った時はどうなることかと思ったが、なんとか繋ぎ止めることができた。

私はもう一度謝罪の意味を込めて軽く頭を下げ、店の方を指差し歩きはじめた。もう少し相手の気持ちを考えて喋らなければ……だが、そもそも裕子さんは私のことをどう思っているのだろうか……などと考えを巡らせていると、背中のちょうど真ん中あたりに「トンッ」と弱い衝撃を感じた。

「アタシは悪くないからね!」

振り返ると、いたずらっぽく笑う裕子さんが私の背中に小さな拳を打ち付けていた。

「もちろんです。どう考えても悪いのは僕です。ホント、すみません」

自らの思慮が足りなかったことで裕子さんを傷つけてしまったことを、心から詫びた。すると、今度は私の左肩に裕子さんのパンチがゆっくりと飛んできた。

「敬語っ!」

「あ!そう……だよね」

二度に渡る裕子さんのパンチは、肉体的には何のダメージも無かったが、私の腑抜けた心を目覚めさせるには十分の破壊力を持っていた。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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