六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編29】設定6の恐怖

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確かに面白いアイデアだとは思う。だが、いくつか気になる点があるのも事実。一つは、ターゲットが私であること。当然、千夏さんは私の事を覚えているのだから、最大級の警戒をされてしかるべきだ。もう一つは、今まで普通の友人だと思っていた裕子さんが、いきなり男に金を貢がせるための相談を持ちかけてくるという不自然さだ。

「なに〜?やらないの〜?」

裕子さんはアヒルのように口を尖らせた。こういう仕草を見ていると、とても年上とは思えない。

「そう……ですねぇ」

私が答えに窮していると、

「前に被害に遭ったお友達の事も知りたいんじゃないの?」

――そうだ、堀口は……

私の脳裏に、雀荘『ライズ』での日々が鮮やかにフラッシュバックした。堀口は美人局の被害に遭った後、行方をくらませてしまった。彼は無事なのか、今どこにいるのか。そして、美人局の正体は本当に千夏さんだったのか……

私は天を仰いだ。隣の台からビッグボーナスのファンファーレが聞こえてくる。裕子さんはそれを消化しながら私の顔を覗き込んでいる。

千夏さんを問い詰めた時に、仮に何かあったとしても、相手は女性一人だし恐れることは無いだろう。そもそも、千夏さんが逆上するような人だとも思えない。言うなれば、設定6確定台を打つ程度のリスクだろう。負ける可能性も若干あるが、大勝ちする可能性の方が大きい。スロットに置き換えることで、私の頭の中はクリアになった。

「よし、やってみましょうか!」

「ホント!よ〜し!じゃあ手始めに、リプレイハズシ手伝って!」

「……それ、関係無いですよね」

裕子さんの無邪気な笑顔を横目で見ながら、ストップボタンへと手を伸ばした。

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長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
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  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

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