六本木ヒルズからの七転八倒

【恋慕編31】変えられない、過去

←BACK【恋慕編30】多分『クロ』だよ!

「だってさ、美人局やってるかもしれないんだよ!?美人局ってなんか『美しい人』みたいに書くけどさ、要するに恐喝だからね!犯罪だよ!?もし本当だったら、そんな子と友だちでいる必要なんかないもん!」

電話の向こうから聞こえてきたその口調は、先程までの探偵ごっこの時のそれとは違い、静かな決意に満ちていた。

「それに長崎くんだって、前の友達の……えーっと、何くんだったっけ?」

「堀口ですね」

「そう!堀口くんのことも気になるでしょ?」

確かに裕子さんの言う通りだった。先日の合コンで千夏さんと再会するまでは、堀口のことなど忘却の彼方であったが、今は違う。当時の真相を確かめ、堀口の現状を知りたいという思いが沸き上がっていることは事実だった。それを知ったところで過去は変えられないし今更何ができるわけでもないが……

「……そうですね。やりましょう」

「よし!やろう!あーもう、またドキドキしてきちゃったよー」

それからの我々二人の行動は素早かった。電話の翌日、私は裕子さんを連れ立って、千夏さんとの相談場所となる西新宿にある喫茶店へと足を運んだ。下見と当日の打ち合わせのためだ。

店のドアを開けると、そこはジャズのBGMが流れる少し古めかしい喫茶店だった。チェーン展開しているようないわゆる「コーヒーショップ」とは一線を画す、落ち着いた大人の雰囲気を醸し出していた。席数は全部で四十ほどだろうか。カウンターに八席と、残りは四人がけのテーブル席だ。テーブル席の間には、大きめの観葉植物が間仕切り代わりに配置されていた。

「いい感じのお店だね」

裕子さんは、私の上着の肘のあたりを指先でつまんで呟いた。

→NEXT【恋慕編32】対面に座る、男と女

profile

長崎 正吾

  • 名前:長崎 正吾
  • 性別:
  • 誕生日:
  • 血液型:
  • 出身地:
  • 好きなもの:
  • 嫌いなもの:
  • 1978年生まれ。34歳の夏、職を失う。20代の頃にスロットで生活していたことを思い出し、フラリとホールへ舞い戻る。そのままスロット生活者へ。基本的にはジャグラーシリーズのみを打つスタイル。スロットで糊口を凌ぐ傍ら、iPhone/Android向けアプリ「ジャグラーで喰う技術1&2」をリリース。

calender

6月≫
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
2627282930  

戻る